イーサリアムとは、仮想通貨の中でも特に注目されているプラットフォームです。イーサリアムは、ビットコインとは違って、スマートコントラクトと呼ばれる自動実行される契約をブロックチェーン上で作成できる機能を持っています。この機能を使って、様々な分散型アプリケーションや金融サービスを開発することができます。イーサリアムは、仮想通貨の世界に革命を起こす可能性を秘めています。
イーサリアムとは何か
イーサリアムとは、分散型アプリケーションやスマートコントラクトを構築するためのブロックチェーンプラットフォームです。ブロックチェーンとは、世界中のコンピューターによって管理される分散型のデータベースのことで、取引や契約などの情報を暗号化して記録します。ブロックチェーンは、改ざんや偽造が不可能であり、信頼性や透明性が高いという特徴があります。
イーサリアムでは、ブロックチェーン上にスマートコントラクトと呼ばれるプログラムを作成できます。スマートコントラクトとは、あらかじめ決められた条件によって自動的に実行される契約のことです。例えば、自動販売機は、商品ごとに決められた金額を入れることで自動的に売買契約が成立するスマートコントラクトの一種です。イーサリアムでは、そういったスマートコントラクトをブロックチェーン上で管理することで、中央機関や仲介者が不要になります。
イーサリアム上で使われる通貨はEther（イーサ）と呼ばれます。イーサは、イーサリアムを利用する際にかかる手数料や報酬を支払うために必要なユーティリティ通貨です。また、イーサは市場で取引されており、価格変動があります。2023年1月時点で、イーサは時価総額2位の仮想通貨となっています。
イーサリアムの仕組み
イーサリアムの仕組みを理解するには、以下の3つの要素を押さえておくと良いでしょう。
- Ethereum Virtual Machine（EVM）
- スマートコントラクト
- Gas（ガス）
Ethereum Virtual Machine（EVM）とは、イーサリアム上で動作する仮想マシンのことです。EVMは、スマートコントラクトを実行するための環境を提供します。EVMは、様々なプログラミング言語で書かれたスマートコントラクトをバイトコードと呼ばれる中間言語に変換して実行します。EVMは、イーサリアムネットワークに参加しているすべてのノード（コンピューター）に存在し、同じスマートコントラクトを同じように実行します。
スマートコントラクトとは、ブロックチェーン上に記録されるプログラムです。スマートコントラクトは、あらかじめ決められた条件やロジックに従って自動的に実行されます。スマートコントラクトは、ブロックチェーンによって保護されるため、改ざんや停止ができません。スマートコントラクトは、分散型アプリケーションや金融サービスなど様々な用途に利用できます。
Gas（ガス）とは、イーサリアムを利用する際にかかる手数料の単位です。Gasは、スマートコントラクトの実行に必要な計算量やストレージ量などに応じて決まります。Gasは、Ether（イーサ）で支払われますが、Gasとイーサの交換レートは変動します。Gasの価格は、イーサリアムネットワークの混雑状況や需要と供給などによって変わります。Gasの価格が高いほど、優先的に処理されます。
ビットコインとは違った価値
イーサリアムとビットコインは、共にブロックチェーン技術を用いた仮想通貨ですが、その目的や特徴は異なります。ビットコインは、中央機関が存在しないデジタル通貨として開発されました。ビットコインは、送金や決済などの基本的な取引を行うことができますが、その機能は限られています。ビットコインの価値は、主に希少性や信頼性によって決まります。
一方で、イーサリアムは、ブロックチェーン上でスマートコントラクトや分散型アプリケーションを作成できるプラットフォームとして開発されました。イーサリアムでは、ビットコインよりも複雑な取引や契約が可能です。イーサリアムの価値は、主にその機能性や可能性によって決まります。
つまり、ビットコインは「デジタルゴールド
としての価値を持つ通貨」であり、イーサリアムは「分散型アプリケーションを作るための環境」であると言えます。そのため、ビットコインとイーサリアムは競合するものではなく、補完するものと考えられます。
イーサリアムによってもたらされる革命
イーサリアムは、ブロックチェーンとスマートコントラクトの組み合わせによって、従来の中央集権的なシステムに代わる新しい可能性を提供します。イーサリアムによってもたらされる革命的な効果として、以下のようなものが挙げられます。
- 信頼性の向上：ブロックチェーンによって記録されたデータは改ざんや偽造ができないため、取引や契約の内容に関して信頼できる証拠が得られます。また、スマートコントラクトによって自動的に実行される契約は、人為的なミスや不正を防ぐことができます。
- 透明性の向上：ブロックチェーンによって記録されたデータは公開されており、誰でも閲覧することができます。また、スマートコントラクトのコードもオープンソースで公開されており、その内容やロジックを確認することができます。これにより、取引や契約のプロセスや結果に関して透明性が高まります。
- 効率性の向上：ブロックチェーンとスマートコントラクトによって、中央機関や仲介者が不要になります。これにより、取引や契約にかかる時間やコストを削減することができます。また、スマートコントラクトは複雑な条件やロジックを組み込むことができるため、柔軟な取引や契約を実現することができます。
- イノベーションの促進：イーサリアムは、ブロックチェーンとスマートコントラクトを利用した様々な分散型アプリケーションやサービスを開発することができます。これにより、金融やゲーム、アートなど様々な分野で新しい価値やビジネスモデルを生み出すことができます。
イーサリアムキラーとは
イーサリアムは人気が上昇するにつれて取引量が大幅に増えたことにより、ブロックチェーンの処理能力が限られていることに起因する障害が発生するようになりました。イーサリアムは手数料の高騰や取引処理の遅延などに苦しめられるようになり、世の中ではイーサリアムのこうした問題の解決を目標とした新たなブロックチェーンが開発されるようになりました。このようなイーサリアムに対抗できる新たなブロックチェーンを、世間では「イーサリアムキラー」と呼ぶようになりました。
イーサリアムの対抗馬として誕生した代表的なイーサリアムキラーを以下に挙げます。
- Cardano（カルダノ）：イーサリアムの共同創設者の一人であるチャールズ・ホスキンソンが率いるプロジェクトです。Cardanoは、科学的な研究や数学的な証明に基づいて開発されたブロックチェーンで、高いセキュリティやスケーラビリティを実現しています。Cardanoは、プルーフ・オブ・ステーク（Proof of Stake：PoS）と呼ばれるコンセンサスアルゴリズムを採用しており、電力消費を抑えています。Cardanoは、イーサリアムとの互換性も持ち、イーサリアム上のDAppsを移植することができます。
- Polkadot（ポルカドット）：イーサリアムの元開発者であるギャビン・ウッドが率いるプロジェクトです。Polkadotは、異なるブロックチェーンを相互に接続することができるプラットフォームで、高い柔軟性や拡張性を実現しています。Polkadotは、Relay Chain（中心となるブロックチェーン）とParachain（Relay Chainに接続されるブロックチェーン）という構造によって、様々な分野や用途に対応できるブロックチェーンを作成できます。Polkadotも、イーサリアムとの互換性を持ちます。
- Solana（ソラナ）：元Qualcommのエンジニアであるアナトリー・ヤコヴェンコが率いるプロジェクトです。Solanaは、高速なトランザクション処理能力を持つブロックチェーンで、秒間5万件以上の取引を処理できます。Solanaは、Proof of History（PoH）と呼ばれる新しいコンセンサスアルゴリズムを採用しており、取引の順序や時間を確認することで効率的にブロックを生成します。Solanaは、低い取引手数料や高いセキュリティも特徴です。
- Binance Smart Chain（バイナンス・スマート・チェーン）：世界最大の暗号資産取引所であるBinanceが開発したブロックチェーンです。Binance Smart Chainは、イーサリアムと同じくスマートコントラクトやDAppsに対応しており、イーサリアム上のDAppsを移植することができます。Binance Smart Chainは、Binance Chainという別のブロックチェーンと並行して動作し、高速な取引処理や低い取引手数料を提供します。Binance Smart Chainは、Binance Coin（BNB）という通貨をネイティブ通貨として使用します。
- Cosmos（コスモス）：Tendermint Inc.が開発したブロックチェーンです。Cosmosは、Polkadotと同様に異なるブロックチェーンを相互に接続することができるプラットフォームで、インターネット・オブ・ブロックチェーンズと呼ばれています。Cosmosは、Tendermintと呼ばれるコンセンサスエンジンとCosmos SDKと呼ばれる開発フレームワークによって、様々なブロックチェーンを作成できます。Cosmosは、ATOMという通貨をネイティブ通貨として使用します。
イーサリアムの将来性
イーサリアムは、イーサリアムキラーと呼ばれる競合プロジェクトに対抗するために、自らも進化を続けています。イーサリアムは、現在のバージョンであるイーサリアム1.0から、大幅な改良を施したイーサリアム2.0への移行を進めています。イーサリアム2.0では、以下のような変更が行われます。
- コンセンサスアルゴリズムの変更：イーサリアム2.0では、現在のプルーフ・オブ・ワーク（PoW）からプルーフ・オブ・ステーク（PoS）へとコンセンサスアルゴリズムが変更されます。PoSでは、取引の検証やブロックの生成に必要な計算力や電力を大幅に削減できるため、環境負荷や取引手数料を抑えることができます。また、セキュリティやスケーラビリティも向上すると期待されています。
- シャーディングの導入：イーサリアム2.0では、シャーディングと呼ばれる技術が導入されます。シャーディングとは、ブロックチェーンを複数の小さなチェーンに分割することで、並行して取引を処理できるようにする技術です。シャーディングによって、イーサリアムのトランザクション処理能力は大幅に向上すると見込まれています。
- ロールアップの活用：イーサリアム2.0では、ロールアップと呼ばれる技術も活用されます。ロールアップとは、メインチェーンから一時的に取引を分離し、サイドチェーンで高速に処理した後にまとめてメインチェーンに反映する技術です。ロールアップによって、メインチェーンの負荷を軽減し、取引速度や手数料を改善することができます。
イーサリアム2.0は、現在段階的に実装されており、2023年までに完全移行する予定です。イーサリアム2.0が実現すれば、イーサリアムはイーサリアムキラーに対抗できるだけでなく、さらなる発展を遂げることができるでしょう。
まとめ
本記事では、イーサリアムとは何か、イーサリアムの仕組みや価値、イーサリアムによってもたらされる革命、イーサリアムキラーとは何か、イーサリアムキラーの代表例や特徴、イーサリアムの将来性について解説しました。イーサリアムは、ブロックチェーンとスマートコントラクトの組み合わせによって、従来の中央集権的なシステムに代わる新しい可能性を提供するプラットフォームです。イーサリアムは、金融やゲーム、アートなど様々な分野で新しい価値やビジネスモデルを生み出すことができます。イーサリアムは、イーサリアムキラーと呼ばれる競合プロジェクトに対抗するために、自らも進化を続けています。イーサリアムは、イーサリアム2.0への移行によって、高いセキュリティやスケーラビリティ、低い取引手数料などを実現することを目指しています。イーサリアムは、ブロックチェーン技術の進化に貢献するプラットフォームとして、今後も注目されるでしょう。
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